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《コラム》田舎暮らしするなら自治会の草刈り作業を知っておこう

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但馬地域には「日役(ひやく)」という地域活動があります。草刈りや溝掃除、お宮掃除などが日役の中身です。
日役は兵庫県北部(但馬や丹波)、京都府北部で使われる言葉です。また、新温泉町と香美町の一部では「総事(そうごと)」と言い、これは鳥取県でメジャーな言い方です。
全国的な呼び名は不明ですが、村の共同作業、地域活動、奉仕作業と言えばなんとなく通じるかと思います。
移住者が戸惑うことの多い地域活動の参加の仕方。
本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
地域活動の内容
地区により差がありますが、主な活動内容を上げてみると
1. 草刈りなど地域周辺の環境整備
2. お宮掃除、参道整備など地域の施設整備
3. 祭りなど地域の伝統行事の準備・参加
参加するのは基本的に1軒から1人ですが、「氏子」とか「田畑を持っている人」など参加対象が決められている日役もあります。
本記事では、ほとんどの地域で行われている「清掃活動」について詳しくご紹介します!!
Q&A形式で書いてみました!
1.どこを掃除するの?
2.誰が参加するの?
3.都合が悪くて参加できない場合は?
4.なぜ自分たちで清掃するの?
5.参加するメリットはあるの?
6.草刈り機を買わないといけないの?
7.いつ、何時間くらい作業するの?
8.いつ、どうやって告知されるの?
9.地域活動なき地方移住はありえないの?
1.どこを掃除するの?
地区の道沿い、川沿いの草刈り、溝掃除をします。村で管理している施設などがあれば、そこも掃除します。私有地は基本的に入りません。
草刈り機を持っている人は川沿いをやって、その他の人は草抜きやゴミ拾いをしたりします。
農地や畦は、農地所有者だけで草刈りする場合と住民総出で草刈りする場合があります。
ただし、市街地内の自治会であれば草刈りの必要がなかったり、地区で管理している施設が少なかったりするので結構内容が違います。
2.誰が参加するの?
自治会・町内会に加入している住民が自分たちの村をきれいにするために清掃します。
自治会は多くの地域で加入必須です。(加入の必要性は後述します。)
住民参加といっても、「1世帯から1名」のケースが多いです。集落に30軒あれば、だいたい30人くらいで作業します。
ほとんどが50代以上で、30,40代が何割かいるような感じです。
ただし、高齢世帯(80歳以上の老夫婦)などは参加免除される地域もあります。
3.都合が悪くて参加できない場合は?
こどもの行事や仕事などで参加できない日もありますよね。
参加できないときは、自治会長にその旨を伝えましょう。
欠席の場合は以下のように対応されるのが一般的です。
・3,000円程度の負担金を支払う
・エリアの一画を事前に草刈りしておく
・代わりに参加できる人を用意する
・とくに何もしなくて良い
対応は自治会によりさまざまですので、事前に聞いておくとよいでしょう。
4.なぜ自分たちで清掃するの?
「自らの地域を自らの手で守る」という文化があるためです!
ほとんどの地域が昔から住んでいる住民だけで構成されています。ご先祖から続く地域を守るため、環境美化と地域コミュニティの連携を高めています。
一方で、町道や河川などの公共部分については自治体がすべきという考え方もあります。なかには、市町村が業務委託や助成金を自治会に出しているケースもあります。
市町村から得たお金や住民から集めた自治会費で、業者に外注することもできないことはないと思いますが、ほとんどの自治会は「自らの地域を自らの手で守る」という思いからボランティアで実施しています。
田舎特有な感じがするかもしれませんが、マンション管理組合も同じ役割なので実は田舎特有の活動ではありません。管理費から植栽管理費が支出されており、業者に委託されているところもありますが、植栽管理費を削減するために住民らがマンション敷地内や周辺の草抜きを行なっているところも多いです。
5.参加するメリットはあるの?
地域住民とコミュニケーションを取るよい機会になっています。
田舎といえども平日にコミュニケーションを取れる範囲は隣近所など限られています。働きに出ていれば、地域住民に会わないのが普通です。
清掃作業中は「〇〇さん?」「仕事はなにしてるの?」「困ったことはないか?」など声をかけやすい雰囲気があります。
お喋りしていると村の歴史を知れたり、生活の知恵を得られたりします。インターネットでは見つけられない情報に出会えて楽しいですよ。
馴染みの住民が増え、自分でキレイにした村で暮らすというのは気持ちが良いものです。
6.草刈り機を買わないといけないの?
買わなくても大丈夫です。
持っている方が善意で出動してくれます。草刈り機がないと川沿いの草刈りなんていつ終わるかわかったものではないので、ありがたいことです。
燃料は現物支給されることもあります。
あと、軽トラを持っている方も大活躍です。いつもありがとうございます。
もし、自分が草刈り機を持っているなら、協力してあげましょう。
7.いつ、何時間くらい作業するの?
30分~2時間くらいで終わります。
土日の午前中に行われることが多いようです。
夏場なら熱中症対策で早朝に実施します。
作業内容と参加人数で変わるので一概には言えませんが、「できるまで」が基本です。
そのため、家族ぐるみの参加は大歓迎です。
8.いつ、どうやって告知されるの?
実施の1か月~1週間くらい前に集落内放送や回覧板で知らされるのが一般的です。
非常に稀ですが、村のLINEグループがあり、それで告知する場合もあります。
作業は毎年同じような時期に実施されるので、総会資料をもらっておけばだいたいのスケジュールはつかめるかと思います。
9.地域活動なき地方移住はありえないの?
ありえないこともないです。
アパートやマンション住民は活動に参加しないことが多いです。
ただし、地域に住んでいる以上、完全に無関係というわけではなく、家賃・共益費に自治会費が含まれているケースはよくあります。アパマンは賃貸が基本なので、活動参加を免除されている感じです。
戸建ては、賃貸であっても自治会加入の勧誘があるかと思います。
また、地区の規模によって自治会加入が必須であるところとそうでないところがあります。
但馬は谷で一つの集落を形成していることが多く、集落内での連携が密です。村を守るため、世帯数が少なければ少ないほど加入必須となります。
自治会は任意団体なので強制力はないのですが、村において自治会の果たす役割は大きいため、加入を推奨します。
さいごに
今回の記事では「草刈り・清掃活動」に絞ってお話しました。
しかしながら、自治会の果たす役割は清掃活動だけではありません。
自治会費は、消防設備の維持、電柱や街灯の保守管理、地域内児童福祉、ゴミ収集所の設置、防災活動など、暮らしを守るために使われています。
田舎の風景は美しいですが、その美しい風景は驚くほど簡単に壊れます。
夏の雑草の成長を見てもらえれば一目瞭然です。あっという間に1mを越します!農地や畦も耕作放棄地の多くなった昨今では管理の手が回らない地域もあり、景観のみならず獣害などの問題となっています。
安全な村づくりを持続させるためには、無理のない範囲で住んでいる人の参加が必要です。
一方で、
どうしても村づきあいに不安を感じるのであれば、移住する前に自治会長さんに運営状況を確認してみることをオススメします。
- 名称
- たじま田舎暮らし情報センター