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《コラム》自家用車を持たない田舎暮らしを考えてみた

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都市部から地方への移住を検討している方にとって最も経済的な負担となるのが、自動車の取得費および維持費。
そう、地方という車社会で生きていくために、自家用車を持たなくてはいけないのです!?

移住相談したら地元民からはまず「自動車は絶対必要!」と言われます。
先輩移住者のなかには「住む場所をちゃんと選べば、田舎でも車がなくても意外と生きていけそう。バスの本数は少ないけど!」という方もいます。

カーシェアリングが一般的になった現代。車社会の地方でも自家用車を持たない地方暮らしを実現できるのではないかと淡い期待を持つ移住検討者の方に代わり、移住相談員の私がいろいろと考えてみました。

兵庫県北部は総合的に見れば不便すぎず、便利すぎずな田舎です。
田舎のちょうど真ん中な環境ですので、他地域への移住を検討している方の参考にもなるかと思います!

 

目次
・田舎での車なし生活のメリット
・田舎で車を持たない生活は可能か(結論)
・車なしでどうやって移動する?
・車あり生活のメリット
・車生活の維持費(年間)
・家族で「1人1台」も必要なのか
・車ありとなしの中間はあるのか
・さいごに

 

田舎での車なし生活のメリット

・事故リスクの軽減
・歩く機会がある
・車の維持費がかからない(後述あり)
・メンテナンス、管理等の手間がかからない
・運転のストレスがない

 

田舎で車を持たない生活は可能か(結論)

さっそく結論をお伝えします!
田舎で、車を持たない生活は、可能です!!

普段の生活で必要な「通勤通学の手段」と「日用品の買い物」をクリアできれば、車を持たない生活を実現できます。
地方でも自家用車を持っていない人は意外といます。
たとえば、大学生のほとんどは自転車で生活していますので、車なし生活の先輩と言えます。よって、大学のあるエリアはなんとか車なし生活を実現できると考えられます。

では、一般的な田舎(大学のないエリア)で「車を持たない生活」を実現するにはどのような場所が良いでしょうか。
以下の2つの条件を満たせれば、実現可能かと思います。
  ①通勤可能な公共交通機関があること
  ②多少の不便を受け入れること

条件①が成り立つ立地の目安は、役場・役所(支所や振興局を含む)に徒歩で行けるエリアです。
役所エリアは、少なくとも1日5本程度以上のバスがあり、タクシーの呼び出しも可能だからです。代替交通については次項で詳しくお話します。

また、条件②の「多少の不便」というのは、バスを一本逃したら2時間予定が狂う程度のことです!
あと、雨の多い但馬では天候上の不便も多少あります。
ちなみに、ネットでのお買い物はちゃんとできるので、ご安心ください。

 

車なしでどうやって移動する?

車がない場合の生活をイメージしてみましょう。

移動手段は、徒歩、自転車、バス、タクシー、電車、友人の送迎、レンタカーの6種類ありえます。

移動手段 特徴
徒歩 半径2kmくらいの行動範囲
自転車 半径6kmくらいの行動範囲。ただし雪の日は厳しい
バス 一般路線バスとコミュニティバス(各市町が運営)がある
市街地と村落部で本数にかなり差があり、1日4~30本程度で運行。土日の運休も結構ある 朝7時~夜8時くらいで営業
ほとんどの集落で利用できるが、一部地区は予約型運行(デマンド交通)で利用
バスの乗り継ぎはあまり配慮されていないため注意
タクシー 田舎のタクシーは流し営業をしていないので基本的には電話で呼ぶ
市街地に待機しているため、市街地から20km以上離れた集落で暮らしている場合は対応できないことも多々あり
鉄道 1時間に1,2本。朝6時~夜10時くらいで営業
駅の数が少ないので行ける場所がかなり限定的
友人の送迎 相手の予定次第
レンタカー・カーシェア 個人間のカーシェアリングはほとんど浸透していません
ネット予約できるレンタカーは豊岡市内に数社あり、朝来市に1社あります。ネット予約はできませんが、電話をすれば借りられるカーディーラーや中古車販売店もあったりします
都会のように車種は豊富じゃないことが多いのでご注意ください

鉄道の補足
但馬地域(豊岡市、養父市、朝来市、香美町、新温泉町)の面積は2,133平方kmです。これは東京都全域の2,194平方kmとほぼ同じサイズです。
鉄道駅の数は但馬内に23、東京都内に650以上です。駅の密度が違いますので、但馬での鉄道利用は限定的なエリアでしか利用できないことがおわかりいただけるかと思います。

移住者の場合、住む場所を自由に選べますので、通勤可能なバス等がある場所に住めます。あるいは、自転車で通える範囲に住まいを構えることも可能です。Uターンの場合、「実家」に住むことが多いのでその柔軟さがありません。

また、タクシーの利用価値は意外とあると思います。
自動車を持っている場合、年間20万円以上の維持費(後述)がかかります。月平均1.6万円。
つまり、月1.6万円以下の交通費であれば車なし生活の方がお得!
取得・購入費用を含めれば、交通費の幅は更に広がります。
利用価値があるからこそ、タクシーを呼べる立地を選ばないと厳しいです。

 

車あり生活のメリット

なんとか田舎で車を持たない生活を考えてみましたが、やっぱり基本的には車が必要だと感じました。

車あり生活のメリットも見てみましょう。

・いつでもどこへでも行ける
・外をほとんど歩かなくて良い
・買い物が楽
・天候にあまり左右されない
・子供の送迎も楽
・複数人の移動がお得
・自分だけの空間を作れる
・運転が気持ちいい

圧倒的に便利です!
お金に余裕のある人は都市部でも車を持っていますよね。お金や管理の手間を気にしないのであれば、あるに越したことはないのです。

自転車やバスでは行けないところって結構多いので、田舎暮らしを満喫するのであれば自家用車を持った方がいいのかなぁとも思います。

 

車生活の維持費(年間)

さて、維持費です。これを知らなきゃ、車の良し悪しは判断できませんね!

今回は中古の軽自動車で年間維持費を計算しました。
ほとんどの項目は、車種により金額が変動します。普通車や古い車を利用していると以下の表よりも費用がかかってしまいますのでご注意ください。

①項目 ②年間費用 ③備考
自動車税 10,800円  
重量税 3,300円 2年ごとに6,600円
自賠責保険 9,865円 2年ごとに19,730円
任意保険 40,000円 相場価格ですが数万円の開きがあります
ガソリン代 56,160円 レギュラー130円/L、燃費25km/L、1日当たりの走行距離30km(通勤時間片道15分程度)と仮定して算出
車検代 10,000円 2年に一度車検。1回あたり20,000円程度。※法定費用等は除く(後述あり)
消耗品費 30,000円 オイル交換、消臭グッズ、ワイパー、バッテリー、修理代など
夏タイヤ代 6,400円 4本32,000円を5年で消費と仮定
冬タイヤ代 16,000円 4本48,000円を3年で消費と仮定
駐車場代 0円 ほとんどの物件が駐車場付きです。月極駐車場を契約した場合、月3,000円程度。
合計額 182,525円  

※車検は通常、法定費用(重量税、自賠責保険、印紙代)と検査費用を併せて5万円程度支払います。表中の車検金額は法定費用を除いた金額です。

 

年間維持費は約20万円という結果です!いかがでしょうか。
事故をすれば保険料は上がりますし、修理代もかさみます。大きめの普通車だと40万円程度必要になってきます。大きな車は税金も車検代もタイヤ代も金額が全然違います。

都市部で車を持った場合との大きな違いは、「冬タイヤ」と「駐車場代」でしょうか。
冬タイヤは但馬で生活するならマストです。冬タイヤは積雪だけでなく「低温」にも強く、兵庫県は神戸の北区より北側なら備えておく必要があると言われています。そして、絶対に安いものを選んではいけません。ちなみにチェーンは必要ありません。
駐車場代は0円で考えます。ほとんどの物件に駐車場がついているからです。都会だと月1万円はかかってしまうみたいですね。
また、外出時の駐車場についても、田舎ではほとんどのお店に無料駐車場があるため出費がありません。

なお、購入・取得費用は人それぞれです。
相場で言えば50万~100万円で中古の購入が多い気がします。
ファイナンシャルプランナーの想定でも同様の意見です。(参考:FPが教える!「地方移住」の気になるお金の話 )
数万円で知人から譲り受ける人や中古車を上手に買う人もいます。
リース契約なども一般的になってきましたね。軽自動車なら月1万円程度でリースできるので、初期費用を少なくしたいならありかもしれません。

 

家族で「1人1台」も必要なのか

田舎の車社会では一家に一台ではなく、一人一台がスタンダードです。
ちょっと農業している家なら、夫婦で3台(普通車、軽自動車、軽トラ)のパターンもあるくらいです。

夫婦ともに通勤に自動車が必要なのであれば、一人一台は仕方ないと思います。
しかし、どちらかが自転車、公共交通機関あるいは原付バイクで生活できるのであれば、意外と一家に一台で済むのではないでしょうか
家族で移動する場合には車が大変便利なので、1台は持っておくことをオススメします。

 

車ありとなしの中間はあるのか

原付バイクあるいは第一種原動機付自転車(4輪)の乗り物であれば、車検や重量税などかからない場合があるのでかなり維持費を下げられます。

第一種原動機付自転車(4)は、超小型EVやマイクロカー、トゥクトゥク(一部商品)が例として挙げられます。
雨風をしのげる商品も増えてきているので、検討してみてください!

 

さいごに

大変長くなってしまいましたが、家計見直しをしている移住検討者のご参考になれば嬉しいです。
初期費用のかかる車関連費は移住スタート時の大きな悩みの1つです。

自家用車の購入を決めていればどこでも自由に移住先を選べますが、車を持たないのであれば選択に制限がかかります。

これまでの移住相談では「免許持ってないなら田舎暮らしは厳しいですね」と伝えることもありました。
今回、車生活について再考してみて「不便を受入れて、役所周辺で家を探せばできないことはない」とアドバイスできることがわかりました。

大きな買い物ですので悩みは尽きないと思います。
不明なこと、不安なこと、知りたい情報などあればお気軽にお問合せください。

お問い合わせ先
名称
たじま田舎暮らし情報センター
TEL
0796-24-2247
MAIL
tjm-furusato4@tajima.or.jp